どうも、ねぎぽよです!
農業は儲からない、とよく言われますが実際はどうなのでしょうか?
「仕事は何でもいいけど農業だけは止めておきなさい、後で後悔するから」
これは、僕が実際に両親、祖父母から言われてきたことです。
僕の実家は元々農家で、野菜やお米などを作って生活していました。
当然、今と昔では物価や環境が違いますので一概には比較できませんが、一昔前までは今のイメージと違って
「農業は儲かる仕事」
という世間一般のイメージがありました。
野菜やお米で一生懸命生産した農家さんは〇〇(野菜の名前)御殿という立派な屋敷を建てるほど、儲かる仕事だったのです。
実際僕が働いている埼玉県の深谷市は「深谷ねぎ」というブランド物のネギで全国的に有名で、道の通りには結構な御殿があちこち建っています。ここら辺の地域はネギに適した土壌で、味の良い長ネギを生産できるということもあってこぞってネギを作ったのです。
しかし、何でもかんでも生産すれば儲かったのは戦後まだまだ日本が成長していく真っ最中、食料も満足にない時代の話です。
今の時代は戦時中と違って食料が十分すぎるほど有り余り、少子高齢化による人口減も相まって野菜の需要が落ちてきているのです。
「10aあたりの総労働時間と粗収益を見れば、一年にどれくらい稼げるかある程度算出できるじゃん?」
という声が聞こえてきそうですが、これは大きな落とし穴があります。
それは、「市況」という変数を全く考慮していないからということです。
農林水産省が、各作物の労働時間と収益モデルを公表しています。
農業を知らない人は実際にこの指標を活用して「あ、この野菜なら10a作ればこれくらいになるのか!労働時間もこれくらいだし、まあプロじゃないから6割くらいで見ておこう」などと考えるのでしょう。
しかし実際にこのデータを鵜吞みにして新規就農などしようものなら大変つらい思いをすることになるのは間違いありません。
なぜなら、この表は「市況」というバロメーターをかなり無視しているためです。
市況とは?
市況とは、簡単に言うと農作物の値段のことで、需要と供給のバランスによって決定されます。
例えば全国的にキャベツが沢山出来ていたら、キャベツ農家さんが農協や青果市場にキャベツをたくさん出荷しますよね?
そうすると市場にキャベツが有り余って、仲買人(スーパーマーケットの青果仕入れやカット業者さんなどキャベツを欲しいと思っている人)は
「こんなにたくさんいらないよ」
となるわけです。
「どうしても買ってくれというなら、値段を下げてもらうしかないなあ…」
ということになります。
つまり、買い手側有利の状態になるのです。
そうすると、農家側は値段を下げてでも売らなければならなくなります。
売れるならまだいいです。
キャベツを出荷しても1箱(8玉入り)で100円にもならないということがあります。
大体、キャベツの箱代が100円前後なので出荷しても利益がないどころが最悪マイナス、赤字ということが起こります。
つまり出荷すればするほど赤字になるのです。
だから、出荷調整といって農協や青果市場しか販売先のないキャベツ農家さんは泣く泣くトラクターでキャベツを潰すということがあるのです。
さて、今あなたが新規就農したいと思っているとしましょう。
そうすると、まず何の野菜を作ろうか?と考えますよね?
そこでネットで「農業 儲かる野菜」などと調べればロールモデルが出てくるでしょう。
その中でもキャベツやレタスは時給換算するとトップクラスの位置づけになっていると思います。
だから、農業を知らない人は
「お、キャベツ儲かるじゃん!栽培も簡単そうだしこれならサラリーマンくらいは稼げるな、キャベツを大量に作ろう!」
と思って単純にみんなが作ろうとするんですね。
もちろん輸入の影響もありますが、こうやって国内でキャベツの生産者が増えると当然キャベツの量が増えて、
単価が落ちる=キャベツ農家の平均収入減少
ということになります。
まあ、キャベツを出荷しても箱代にもならないということのほうが少ないですが、僕の地域では1箱400~800円前後で推移している感じです。
因みに400円と800円では、倍違いますから「全然参考にならねぇ!」という声が聞こえてきそうですが実際にそうなので仕方ありません。
僕が勤務している地域の情報で見てみましょう。
ここら辺の地域では長ネギ栽培が盛んです。
結構儲かるということで多くの農家さんが長ネギを作っています。
昨年の11月頃は市況が割とよく、5㎏入りの箱(L45本)で6,000円とか値段が付いた日がありました。
例えばこの日に100箱出荷していた農家さんがいましたが、単純計算で粗利60万円稼いだということになります。こういう日が続けば間違いなく農業は儲かると言えるでしょう。
毎日ではないですが、そのほかの日でも2,500~3,000円とかの値段で取引されていましたのでそれなりに儲かりました。
しかし、今年はどうでしょう。
同じものでも1箱1,500円程度です。
箱代にもならないという悲惨な状況ではありませんが、昨年と比べるとかなり厳しい数字になります。
残念ながらこの市況というのは一農家がどうこうできるものではないので、従うしかありません。
農協や青果市場しか販売先を持っていない農家さんは泣き寝入りするしかないのです。
これでは、安定して儲けるというのは無理な話になってきます。
よく、野菜は高い時は儲かるからいいよな~と言われたりしますが現実は値段が高騰するときのほうが稀です。
僕の記憶だと4年くらい前にキャベツが1箱3,000円くらい付きましたがそれ以来一度もそんな高値が付いたことがありません。
しかし、そんな状況の中でも安定して儲けている農家さんがいるのはどういうことなのでしょうか?
農協や青果市場以外の販路を持っている農家さんです。
僕の会社もそうですが、ある程度の規模になると仲買業者さんを挟んで作った野菜を買い取ってもらえるようになります。
値段を予め決めているので、農協や青果市場に出荷するのと違い収入が安定します。
もちろん、決められた品質で、決められた量を、決められた日時に出荷するというのが大前提になってくることですがいくらになるか分からないところに出荷するよりは安心ですよね。
また、例えば地元のレストランや青果問屋などに直接営業をかけて販売するというやり方もあります。
この場合、営業力や信用力が必要とされますが、うまく契約できれば収入の柱になり得ます。
例えば、1キロ200円でネギを仕入れているラーメン屋さんに同じ条件のネギを1キロ150円で販売しますよどうですか?などと提案するわけです。
僕の地域でもこのようなやり方をしている農家さんは沢山います。
表に見えないだけで、「もっと安く仕入れたい」と思っている飲食店やスーパー、加工業者は意外とたくさんあります。
あとは、通販ですかね。
通信販売であれば今ならメルカリやラクマなどのフリマアプリ、楽天やAmazonといった大手通販サイトでも販売が可能です。
ただ、通販の場合は「差別化」がかなり重要なポイントになってきます。
ごく普通のキャベツをわざわざ通販で買いたいと思う人がいるでしょうか?
いませんよね。
通販で買うとしたら、そこでしか買えないものとか、買いに行くのが面倒なもの、何か特色のあるものになると思います。
だから、他の農家さんを差し置いてあなたから「買いたい!」と思ってもらえるような工夫が必要不可欠となります。
加えて、SNSやブログでの情報発信など、ある程度ネットにも慣れていないといけませんが上手く軌道に乗れば安定収入が見込めるということになります。
結論的に言うと、
「農業は、やり方次第でまだまだ儲かる」
ということになります。
多くの産業が衰退産業となっていく中で、農業は成長産業と言われています。
AIやドローンを活用したスマート農業や、ロボットの開発などが盛んにおこなわれている業種でありそうした意味ではまだまだ魅力のある業界といえるでしょう。
ただ、だからこそ昔のやり方に固執する農家さんは残念ながら淘汰されていく運命にあると思います。
現代には現代のやり方、1歩先を行くやり方を実践し続ける姿勢があれば確実に儲かるでしょう。
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